今回受賞した「エリアマネジメント賃貸住宅」は、横浜市緑区十日市場町で推進しているSDGs未来都市・横浜「持続可能な住宅地推進プロジェクト(緑区十日市場町周辺地域)」における「十日市場センター地区22街区事業」の中核である分譲マンション「グレーシア横浜十日市場」内に併設した、9戸の賃貸住宅です。この賃貸住宅を分譲マンション住民が主体となるエリアマネジメント団体が運営することにより、エリアマネジメントの人材獲得およびエリアマネジメント団体の安定的な資金の確保を実現できるスキー ムを確立させました。
地域活性化を促進するため、地域に開放しマンション住民と地域住民とが交わる場「シェア共用部」。その運営を賄える収益と人材の確保を同時に解決した本プロジェクトは、周辺の地域社会との連携、共生を前提とした多様なエリアマネジメントを有し、大いに参考にされるべき性質であると評価されました。
「SDGs未来都市・横浜」のモデル地区内に誕生する本プロジェクトは、横浜市と協議を重ね、持続可能な開発目標をふまえ、「誰もが住みつづけたい街づくり」、「街が子どもを育てる街」をめざした官民連携プロジェクトです。住民だけでなく、地域の多世代と交流しながら、子どもも大人も成長していく「まち保育」をテーマに、通常は住民専用施設として利用される共用部を「シェア共用部」として地域に開放。農園や音楽室、ラウンジといった空間だけでなく、工具やキッチン、書籍など様々な道具を「まちのツールボックス」として共有。地域との活発な交流活動をサポートする「集う」を楽しむ、交流拠点を創出しました。
審査委員からは、大規模集合住宅におけるコミュニティ形成、近隣地域との接続という課題への創造的な提案であること、行政としてのエリアマネジメントの視点と民間事業体としての価値創造の視点を統合する新しい方法としての可能性を感じさせる点が評価されました。
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相鉄いずみ野線開業(1976年)とともに誕生したニュータウンを、幅広い世代の多様なライフスタイル実現に向けてリノベーションしたプロジェクトです。2016年度にグッドデザイン賞を受賞した駅前の「ひろば」を囲むようにファミリー・若年層・高齢者層向けの住宅群を整備し、多世代が交流する地域コミュニティを創出しました。近隣の既存住宅にお住まいの方には多様な住み替えメニューを用意し、エリア内の住み替え循環を推進しました。
審査委員からはエリアマネジメントプログラムの丁寧さや住み替えニーズへのきめ細やかな対応、広場を中心にコミュニティの循環を作り出す都市空間デザインなどに共感が集まり、郊外再生の核として期待が持てると評価されました。
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駅の広場空間と商業施設ジョイナステラス二俣川
相鉄線各線の分岐点として、沿線における重要性を高めてきた二俣川駅。都心直通運転や駅南口再開発を契機に、駅自体を「人が暮らし、集うコミュニティハブ」と捉えて新たにデザインしました。駅の自由通路と広場空間を中心に、商業・オフィス・集合住宅・医療モール・認可保育園の複合施設群をネットワーク化して配置するとともに、居住者や利用者のコミュニティ形成のための諸活動を展開しました。
審査委員からは、「エキナカ」の限定的なにぎわいを超えた「エキソト」との声も。駅を核とした中小規模の街づくりの可能性が見え、手がかりが感じられた点に評価が集まりました。